雨が降る朝、玉村町の生活はいつも通り動きます。
通勤、保育園の送迎、買い物、病院。鉄道のないこの町では、車は「便利」ではなく「前提」です。だからこそ、私たち整備工場が一番怖いのは、故障そのものよりも——「直せるのに、天候で作業が止まって納車が遅れる」ことでした。
とくに電装整備は、雨に弱い。
カーナビ、ドラレコ、エアコン、各種センサー、エーミング(ADAS関連の調整)、LEDヘッドライト…。現代の車は電装化が進み、電気と制御で走っています。ところが電装作業は、配線・コネクタ・基板など“水が大敵”な領域を扱うため、悪天候下で無理に進めると品質に直結します。
「今日はここまで。続きは晴れた日に」
その一言が、お客様の予定を一日ずらし、仕事や家族の段取りまでずらしてしまう。玉村町では、その影響が都市部よりずっと大きいのです。
私たち株式会社チギラモータースは、2011年に個人事業として創業し、2017年に法人化。同年、国土交通省指定の民間車検場「指定工場」となり、車検整備と車両販売を軸に地域のカーライフを支えてきました。特別な宣伝広告をしてこなかったにもかかわらず、地元のお客様が増えていったのは、社長のフレンドリーな人柄と、仕上げの確かさを口コミで伝えていただけたからだと思っています。
そして2020年、環境変化への対応策として電装サービスを開始しました。自動車電気装置整備士の資格を持つスタッフが、エアコンやカーナビなど車両電装品の販売・取り付け・修理を担い、主にディーラーからの受託も増えています。
ただ、課題がありました。専用の作業スペースがないことです。
電装作業は、部品が複数社から届き、納期にばらつきが出やすい。分解→部品待ち→交換→動作確認…と、車両が“居座る”時間が長くなりがちです。専用場所がないと、他の整備の動線を塞ぎ、工場全体の効率を落としてしまう。結果として外注に回すケースも出て、納車が遅れ、満足度低下や失注につながる——この悪循環を断ち切る必要がありました。
そこで今回、持続化補助金を活用し、整備場内に”電装整備専用の全天候型作業スペース(カーポート)”を設置しました。
規模は間口7,904mm×奥行5,450mm(約43㎡)、高さ3,000mm。SUVやミニバンはもちろん、2トントラックなど“働く車”にも対応できる高さです。下は全面アスファルト舗装。つまり、屋根さえあれば電装整備に必要な「乾いた安定環境」が成立します。
このスペースを作った本当の目的は、見栄えでも設備自慢でもありません。
「雨でも、止まらない整備」を実現するためです。
・天候に左右されず作業が進む=納期が読みやすい
・電装専用ラインがある=他作業に影響しない
・動作確認まで一気通貫=品質がブレない
結果として、電装整備の作業効率を高め、月間整備可能台数の拡大にもつながります。私たちの計画では、電装整備の作業効率30%向上、月間15台→25台へ。数字以上に大きいのは、「困った時に頼れる場所」としての信頼が積み上がることです。
玉村町には当社を含め指定工場が4つありますが、他の3社はトラック特化。当社は普通車対応が強みです。さらに、車検・整備・販売に加えて電装まで自社で見られる。地域のお客様にとって「どこに頼めばいい?」を一つにまとめられる、ワンストップの価値があります。
雨の日でも、電装が止まらない。
それは整備工場の都合ではなく、玉村町で暮らす皆さんの「今日」を止めないための投資です。これからブログでも、作業の様子や考え方を“見える安心”として発信していきます。困った時、思い出してもらえる存在でいられるように。